1947年に建造された木造マグロ漁船、「第五福竜丸」。
この船は、1954年3月1日、太平洋のマーシャル諸島にあるビキニ環礁でマグロ漁を行なっていた際、アメリカが行った水爆実験によって、当時乗船していた23名の乗組員と共に、その被害を受けました。
被曝事件の被害を受けた第五福竜丸と乗組員たちのその後。
今から60年以上も前の出来事ではありますが、1945年に起こった広島・長崎への原子爆弾投下に続き、日本における3つ目のこの被曝事件は、私たちにとって忘れてはならない重大な出来事です。
そのため、東京都は「原水爆による惨事がふたたび起こらないように」という願いを込めて、この都立第五福竜丸展示館を夢の島公園内に設立し、第五福竜丸の実物を展示しています。
▲全長約30m、高さ15m、幅6m、総トン数140tの巨大木造船。
なお、こちらの「第五福竜丸」は1967年に廃船処分となり、当時夢の島にあったゴミの処分場に放置されていて、それを知った市民による保護運動が起こったことをきっかけに、現在の展示館が作られたのだそう。
この都立第五福竜丸展示館には、第五福竜丸の実物以外にも、水爆実験による被害の実情や、乗組員の病状についてなどを、当時の状況を年表や写真等を元に展示されています。
展示物の中には、「死の灰」と呼ばれる放射性下降物の実物も。
事件当時、この「死の灰」を浴びた23名の乗組員たちは、放射線による火傷、頭痛、嘔吐、脱毛や、皮膚のただれなどの症状がでたそうです。
その後、第五福竜丸の無線長を務めていた久保山愛吉さんは、残念ながらこの事件による被曝が原因で死に至っており、「原水爆の被害者は、わたしを最後にしてほしい。」という言葉を遺されています。
今もなお、多くの人々に愛される第五福竜丸。
スタジオジブリの作品で背景を手がけている、男鹿和雄さんが描いた第五福竜丸の絵も、期間限定で展示されていました。
▲男鹿和雄さん作「海の第五福竜丸」。
第五福竜丸は展示館の構造上、その全体図を見ることはできませんが、せめて絵の中だけでも、海を渡る第五福竜丸の勇姿を見たい。という思いから描かれた作品なのだそう。
とっても素敵な作品で、見る人の心を打つものがありました。
こちらの展示館は無料で開放しているだけではなく、来場者には無料でガイドを行なってくれるとのこと。
そのため、小学校や中学校の校外学習や修学旅行でも多く取り扱われています。
さらに、親子でのご来場される方もたくさんいらっしゃるとのことで、不定期に小さなお子様向けにワークショップなども開催されているとのこと。
こちらは、牛乳パックで作る第五福竜丸。
「本当に水の上を走るんだよ♪」
都立第五福竜丸展示館では、「知らない人には伝えよう。忘れてかけている人には思い出させよう。」という思いのもと、様々な展示を施しているとのこと。
大切なことをしっかりと学ぶためにも、一度足を運んで見てはいかがでしょうか。
なお、こちらの第五福竜丸展示館は、2018年7月から約9ヶ月の改修を終え、2019年4月よりリニューアルオープンいたしました♪
その詳細はこちらの記事をご覧ください。
更新日:2021年6月12日