BROOKLYN BEAUTY / FASION LABO、略して「BBFL」。 アメリカニューヨーク州にあるブルックリンに本店を構えるこちらのお店が、なぜ突然「日本」の、しかも「新木場」にやってきたのか?
店舗を運営するのは、アトリエ株式会社。精密塗装や印刷技術を駆使して制作を行うモックアップ制作部と、ブランディングの観点からパッケージやヴィジュアルデザインなど幅広くをデザインを手がけるデザイン部 TENT design で構成されたクリエイティブオフィスです。
今回はBBFL tokyoのディレクターであり、TENT design クリエイティブディレクターの原田 夕樹さんにお話をお伺いしました。
原田さんとブルックリンの出会い、BBFLができるまで
原田さんがブルックリンと出会ったのは、デザイン部立ち上げに向けて、ブランディングという観点からの視野を広げたデザインを学ぶため渡米したことがきっかけ。
大手化粧品会社でデザインを手がけられていたディレクターをデザインの師匠とし、ブルックリンで生活をしながらデザインを学びました。
ブルックリンは、多くのアーティストやクリエイターが拠点としています。彼らが自ら古い倉庫や建物をリノベーションして作り上げた街であり、サスティナブルの先進国として世界に注目されています。
師匠が進行していたプロジェクトのひとつとして、エコでサスティナブルなブルックリンのライフスタイルを発信するためのプラットフォーム「BBFL」を立ち上げました。
そこで、原田さんはブルックリンでのBBFLの立ち上げに携わり、ブルックリンに根付く”サスティナブル”の考え方に魅了されたのだそうです。
新木場は”日本のブルックリン”になれる街
ブルックリンでデザインの勉強とBBFLのローンチを終えた原田さんが日本に帰国し、デザイン事
務所を立ち上げる際に、候補として上がったのが「新木場」だったのだそう。
”最初は現実面として、モックアップにおける塗装ができることや、交通の利便性などの観点を重視していたのですが、新木場の駅に降り立った時に「ブルックリンとの共通点」がたくさんあることに気づいたんです。”
という原田さん。
海と倉庫。そして音楽。
「木材とものづくりの街」という点も、アーティスト活動に専念している方が多いブルックリンとの大きな共通点だと言います。
また、事務所の立ち上げに伴ってカフェ事業などの展開も考えていたということもあり、広いスペースが使える福清さんの旧倉庫を内見した際、
”ここにBBFLの日本拠点を作りたい!”
と直感し、モックアップ事業、デザイン事業、そしてBBFLの店舗を新木場で始めることを決めたのだとか。
▲店舗外観。一歩足を踏み入れたら、「ブルックリン」に繋がっている!
オーガニックを超えた”サスティナブル”への想い
ブルックリンでの生活、そしてBBFLのディレクションに携わる中で、原田さんの胸を打ったのはブルックリンに根付く”サスティナブル”の文化。
日本では”サスティナブル”はまだまだ馴染みのない言葉ではありますが、
サスティナブルとは、物を生産する時に、身体に有害な添加物などを使用しないのはもちろんのこと、それを生み出す過程までを配慮するという考え方。
それは、自然環境や動物保護、そして生産に携わる人々の労働環境にまで及びます。
”日本では、ここ数年ようやく「オーガニック」という言葉が浸透してきてはいますが、オーガニックは「自分が使うものが無添加かどうか」が基準になっています。
しかしサスティナブルは、自分のこと以上に、「その”物”自体も、その周りの環境も、全てのことを想って生産し、それを自分たちの街のために使う」ということなんです。
ブルックリンの人たちの、そういったマインドに強く惹かれました。”
自分が使う”物”に携わる全ての人や物に敬意を払う。それが”サスティナブル”なのです。
▲いつもは和かな原田さんですが、サスティナブルのことを語る表情は真剣そのもの。
新木場の、そしてサスティナブルの”プラットフォーム”になりたい
今後の展望として、カフェスペースの展開や、親子連れを対象にしたワークショップの開催、新木場だからこそ生み出せる”サスティナブル”な商品の開発など、原田さんの構想は溢れるばかり。
”目指しているのは、新木場の拠点になれるような場所になること。
「私たちはこうです!」ということではなく、来てくださるお客様の声を聞いて、新木場の方々が求めているサスティナブルな商品を製作・販売し、このお店から「新木場はこんな街ですよ」ということを発信していけるような場所になりたいです。”
と話す原田さん。
▲新木場にやってくる方々のことを思いながら、多様なアイディアを考案しています。
事業所名である「TENTdesign」は、拠点という意味合いの”テント”と、人と人との繋がりを意味する”点と点”を掛け合わせているのだそう。
さらに、真ん中には”EN(縁)”があり、人と人との繋がりの中で、いつもご縁を大切にしている原田さんだからこそ、新木場とブルックリンをつなぎ、新木場がこれからより多くの方と繋がっていくための架け橋になってくれるのでしょう。