言わずと知れた木材の街、新木場。
かつては600以上の材木店が軒を連ね、「東洋一の木材団地」と呼ばれていた新木場ですが、変わりゆく情勢の中で、現在も材木業を営んでいるのは100社以下となってしまいました。
そんな中でも、時代に負けず、間も無く100年の歴史を刻もうとしているのが、今回ご紹介する「菱大木材株式会社」。
今回は、新木場の古き良き文化を守る材木店の「今」をご紹介します♪
新木場で丸太を加工できる数少ない材木屋
菱大木材の最大の特徴は、「丸太」を製材できること。
2021年現在、新木場には製材された木を加工する業者などはありますが、菱大木材は製材技術を見られる数少ない工場の一つです。
▲丸太が見られるのは、東京でここだけ!
取り扱っているのは、「南洋材」と呼ばれる、インドネシアやフィリピンなどの熱帯地域で算出される木材で、
現在はタイ・マレーシアから輸入した「アピトン材」と、パプアニューギニアから輸入した「ディレニア材」がメインとなっています。
▲丸太を製材している様子。
アピトン材やディレニア材は、耐久性・耐水性が高く、トラックの床や土足で利用するフローリング、時には公園の遊具など、強度が求められる環境で利用されているのだそうです。
▲注文を受けてから、オーダーメイドでカットしていきます。
丸太を製材する際に発生する端材は、細かく切削して「パーティクルボード」と呼ばれる製品の材料にしたり、輸出梱包用の角材にするなど、「木」という資源を最大限に活用しています。
▲輸出梱包用の角材。
来年創業100年!大正から令和へ。
2021年現在、菱大木材はなんと創業99年。来年で100年を迎える、歴史ある材木店です。
大正時代から、昭和、平成、そして令和へ。
関東大震災や第二次世界大戦などの災害に見舞われる東京を、その製材技術で支えてきた菱大木材。
また、近年では、40年前に貯木場が木場から新木場に移転した頃から、原木の輸出の制限、安価な加工製品の登場、
そして2020年の新型コロナウィルスの流行では、地方への丸太の買い付けも困難に陥るなど、
時代の荒波に揉まれながらも、初志貫徹で材木業を貫いてきました。
▲貯木場に数多くあった丸太も、今ではほとんど見られなくなりました。
▲新木場に移転した40年前から菱大木材を支えている製材機。
これまで、東京を中心に、全国で造られるたくさんの建物や乗り物を支えてきた、陰の立役者です。
製材機は、直径120cmまでの丸太を加工することができます。
太い丸太を製材する場合、ノコギリの刃も鈍りやすくなります。
そのため、工場には「目立て場」と呼ばれる、ノコギリの刃を研ぐための設備もありました。
▲目立て機。こちらも長い歴史を感じられます。
これからも新木場の材木屋を盛り上げていきたい
”丸太加工技術を、新木場という地で、これからも長く続けていける環境が作れたら。”
そう語るのは、現在の三代目社長・大堀雅之さんのご子息である、大堀雅人さん。
お父様の背中を追い、3年前から菱大木材に入社した雅人さんは、まさに新木場の「次世代のエース」。
今までの歴史は守りながらも、そこに新しい挑戦も重ね、丸太加工技術を次世代に残したいという想いをお持ちでした。
▲大堀雅人さん
菱大木材は現在決まった材木店などが取引先のメインとなっているようですが、
材料の御提案や新木場業者のご案内、端材の問い合わせ等、一度ご相談くださいとのこと。
新しい風とともに、来年100年という節目を迎える菱大木材のこれからが楽しみです♪
何も加工していない状態の「木」の可能性は無限大。
誰かの発想さえあれば、どんな形にも変えていくことができる丸太のように、
木材の街・新木場も、時代に沿って形を変えながらも、これからも「木」で「東京」を支えていく街であり続けられますように!